酸化ストレスと男性不妊

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男性不妊の多くは原因不明の造精機能障害。
適切な治療で治療成績の向上を期待。

男性不妊の原因のほとんどは、精子がうまく作られていない造成機能障害とされています。しかも、その半分弱は特発性と呼ばれる原因不明によるものです。

ところが、適切な対策を行うことで、精液所見だけでなく、ART治療成績も改善することが明らかになりました。そのひとつとして注目されるのが「酸化ストレス」への対応です。

酸化ストレスが体をサビつかせ、精子の状態に悪影響を及ぼす

「酸化」は、ものが空気中の酸素に触れて反応することで起こる現象で、いわゆるサビです。体内で活性酸素種が発生すると酸化により体の細胞がサビついて、さまざまな体調不調や病気の原因となります。

通常は活性酸素種のダメージを受けても体の抗酸化力が働いてバランスを保っています。しかし、自分が持つ抗酸化力で補いきれなくなると「酸化ストレス」となってしまいます。

酸化ストレスの原因には、喫煙や肥満、不規則な生活や食生活の乱れなどがあります。つまり、これらが精子の質を低下させることにも影響しているのです。

精子への酸化ストレスによって障害が起こるメカニズム

酸化ストレスは、精子頭部のDNAを損傷させたり、精子体部や尾部の細胞膜の脂質を酸化させたりします。DNAの損傷は、受精率の低下や流産率の上昇を招くことにつながります。

また、細胞膜の脂質の酸化は細胞膜の柔軟性を低下させ、精子細胞のタンパク質の酸化も加わって精子の運動性能を悪化させます。

監修

獨協医科大学埼玉医療センター
獨協医科大学医学部特任教授

岡田 弘 先生