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ドクターインタビュー - 精子の質 改善ラボ
ドクターインタビュー02

今までわからなかったことがわかる。 それが患者さんの希望につながっていますドクターインタビュー

02

今までわからなかったことがわかる。
それが患者さんの希望につながっています

医療法人社団 厚仁会 厚仁病院

理事長

松山 毅彦 先生

着床にかかわる検査とともに提案

当院では2年以上前から、おもに体外受精・顕微授精を何度かされてうまくいかなかった患者さんに対して、DFI検査を取り入れています。

患者さんには、体外受精で胚盤胞への到達率が低い場合、着床にかかわる検査とともにDFI検査を提案しています。着床不全の考え方は3回の不成功といわれていますが、私は2回胚盤胞移植がうまくいかなかったときには、DFI検査についてもお話しします。

従来の精液検査の結果は悪くないのに胚盤胞到達率が低い方は、精子DNAの損傷率が高い可能性が考えられます。またDFI値が高いことから、精索静脈瘤など泌尿器の病気が見つかる可能性もあります。検査を提案する際に、こうした理由と精索静脈瘤の可能性についても伝え、検査を受けるかどうかはご夫婦の自発性にまかせています。

DFI検査をしなければ精子に関して未治療

DFI検査の結果については、予想していたよりも正常に近い方が多いという印象です。ただ、正常値をどこにするかによって判断は変わり、厳しい数値を正常値とすると、かなりの方がボーダーラインになります。当院では、獨協医科大学埼玉医療センター・岡田弘先生のチームのデータや検査会社のレポート、文献などを参考にして判断しています。

DFI値が高かった、つまり数値が良くない方には、抗酸化サプリメントをおすすめするのと生活改善を心がけていただきます。また、泌尿器科で精索静脈瘤の有無を調べてもらうようにアドバイスしています。

年齢が高いとDFI値も高い傾向は知られていますが、従来の精液検査では問題が無いのに、胚盤胞の到達率が低い方がDFI検査を受けると、その値が高いことがあります。こうした方は、DFI検査がなければ精子に関しては未治療のままで過ぎていたかもしれません。DFI検査は、医療側にとっても患者さんにとっても大きな情報といえます。

DFI検査の結果をふまえた対策を行っていくと、今まで何度も体外受精をしてもうまくいかなかった方が、胚盤胞まで到達するようになった、胚(受精卵)のグレードが上がったということは少なからずあります。

不妊治療が比較的うまくいっていればDFI値のデータは良くなっていて、これは岡田弘先生の論文と同じ傾向です。

男性の基本検査としてDFI検査を

不妊原因の約半分は男性因子が関わっていますので、男性側の検査や治療をしない理由はありません。しかし、当院は産婦人科をメインとする病院のため、男性が院内に入って来にくいのが実情です。また、最初に泌尿器科への受診をすすめても、ほとんどの男性はピンとこない様子です。DFI検査を提案しても、「精液検査をして自分に悪いところはないので、これ以上の検査は必要ない」と思っている男性が多いようです。

最初に受ける基本の検査にDFI検査が含まれていれば、検査への抵抗感は少なくなると思いますし、早期に精索静脈瘤が見つかる人もいるかもしれません。ただし、DFI検査は保険適用ではないので費用は自己負担となります。そのため現在は、最初から男性側に問題が疑われる場合や過去の治療歴を検討し、該当する方にDFI検査を案内しています。

DFI検査を行うことの患者さんにとってのメリットとして考えられる点は、その結果から導かれる不妊治療の成績が向上することのほかに、「今までわからなかったことがわかった」という点は大きいと感じています。仮に治療結果に反映されなかったとしても、理由がわかることは「できることがある」という希望につながり、精神的な負担が少し軽くなると思います。

治療の前後でDFI値を比較した患者さんは、「以前より良くなっているのですね。良かった」と言われる方が多く、検査の意味がありますし、男性側の治療計画も変わる可能性があります。
体外受精治療を受ける前にできること、いわゆるプレコンセプションケアに近い提案をしていますが、今後、その重要性も認識されていくと期待しています。

男性の不妊検査・治療に対する認識は徐々に広がっていますが、まだまだ治療中の人がメインで、一般に情報が浸透しているとは言えません。もっと一般の人々に男性側にも問題があること、それに伴う検査や治療ができることを知って欲しいですね。

医療法人社団 厚仁会 厚仁病院

医療法人社団 厚仁会 厚仁病院
理事長 松山毅彦 先生 ご経歴

昭和59年 東海大学医学部卒業。
昭和61年 東海大学医学部大学院(外科系・産婦人科)入学。
その後小田原市立病院産婦人科医長となる。
平成5年 学位取得、東海大学付属大磯病院産婦人科に勤務、永遠幸マタニティクリニック副院長を経て、平成8年に厚仁病院産婦人科を開設する。
平成20年 厚仁病院理事長就任
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・指導医
日本生殖医学会 生殖医療専門医・指導医

監修

獨協医科大学埼玉医療センター
獨協医科大学医学部特任教授

岡田 弘 先生