DFI検査とは
- DFI検査とは
- 体外受精がスタンダードな今、精子の機能検査が重要に
- こんな男性におすすめします
- これまでの精液検査と高度精子機能検査(DFI検査)の違い
- 精液検査から「精子機能検査」へ
- 高度精子機能検査(DFI検査)の流れ
DFI検査とは
DNA Fragmentation Index
従来の精液検査では充分に反映できない、「精子の質」に影響する精子DNAの断片化を測定する検査です。これといった原因がないのになかなか妊娠しないカップルに対して、このDFI検査を受けることをご提案します。
体外受精がスタンダードな今、精子の機能検査が重要に
酸化ストレスなどでダメージを受けて、精子のDNAが損傷することがあります。損傷がある精子の割合(精子DNA断片化率)を調べるのが「高度精子機能検査(DFI検査)」です。
精子DNA断片化率が高い場合は、自然妊娠が起こりにくくなります。また、顕微授精を行った場合でも、流産率が高くなるなどの生殖障害が明らかになっています。
精子DNA断片化率は、精子に受精させる力があるか、受精卵が分割していく力を要しているかを示すといえます。日本では、体外受精・顕微授精の治療件数は年々増加していますが、DFI検査により精子の機能を調べることで治療成績が向上する可能性があります。
こんな男性におすすめします
精液検査の結果が良くなかった
元気な精子の数が少ない、検査結果にばらつきがあるなど、大きな問題になるほどではないが、なんとなく気になっている方。
特に不妊の原因はないが妊娠しない
これまでいろいろな検査をしても、特に不妊の原因は見つからない。ひと通りの不妊治療をしたけれど妊娠しないという方。
パートナーの女性の年齢が35歳以上
受精卵が着床直前の胚盤胞という状態になるには、精子DNAの力が必要。女性の年齢が高くなるほど妊娠には不利なので、精子DNAの力を把握したい方。
これまでの精液検査と高度精子機能検査(DFI検査)の違い
これまでの精液検査
従来の精液検査でわかるのは、精液中の精子の濃度や運動率など、いわば精子の外見だけといえます。多くの医療機関でWHOの基準に照らして、自然妊娠が望める数値かどうかを判断し、治療を選択します。
DFI検査
精子DNAがどれくらいの割合で損傷しているかを調べる検査。見た目ではわからない精子の機能を明らかにすることで、今後の治療方針の検討材料になります。
精液検査から「精子機能検査」へ
不妊治療における男性への主要な検査は精液検査で、精液を顕微鏡で観察し、精液中の精子の数や運動率、奇形率などを調べます。精子の数や運動率が低下すると、自然妊娠が起こりにくくなるからです。ところが、検査のたびに結果が異なることがあったり、人工授精や体外受精、顕微授精では精子の数や運動率と妊娠率が関連しないという研究報告もあり、より詳細な精子の質(機能)を検査する指標や方法が求められています。
精子DNA断片化指数検査
精子の質を測定する検査が、精子DNA断片化指数(DNA fragmentation index:DFI)検査です。精子DNA断片化とは、精子DNAの二重らせん構造が損傷している状態をいいます。この損傷は、主に酸化ストレスなどのダメージで引き起こされますが、精液中に精子DNAに損傷を受けた精子が多くなると、受精率や胚盤胞到達率、妊娠率が低下したり、流産率が上昇したりすることが知られています。精子DNAの損傷は、ある程度は、受精後に卵子によって修復されますが、女性の年齢が高くなると卵子の修復能力が低下することも知られています。
この損傷したDNAをもつ精子の割合を精子DNA断片化指数といい、それを測定するのが精子DFI検査です。
フローサイトメトリーによる測定
精子DNA損傷の程度を測定するにはいくつかの方法がありますが、代表的な方法がフローサイトメトリーによる測定です。精子をアクリジンオレンジという色素で染色し、レーザー光をあてると、DNAに損傷のある精子は赤く、損傷のない精子は青く発色します。この性質を利用し、精液中のDNAが損傷した精子の割合(DFI)を測定します。
精液中にDNAが損傷している精子が多いとDFIが高くなり、反対に、DNAに損傷のない、良好な精子が多いとDFIは低くなります。カットオフ値(基準値)は、一律の値は存在せず、検査方法や検査施設ごとで、設定されるべきとされています(WHO精液検査マニュアル第6版)。
この検査で
なにがわかるのか
隠れた不妊のリスク因子を特定できる可能性があります。そのため、原因不明の男性不妊や反復不成功カップルに対して、男性の生活習慣の改善や抗酸化サプリメント、男性不妊を専門とする泌尿器科医による診療や検査の必要性、ART治療へのステップアップの判断等、今後の治療方針を立てる目安となります。
高度精子機能検査(DFI検査)で適切な治療を選択
原因不明の男性不妊やART治療を繰り返しても妊娠しないカップルには、これまで経験的な治療を行うしか方法がありませんでした。しかし、高度精子精液機能検査(DFI検査)によって治療が必要なのか、不要なのかの検討が可能になります。
高度精子機能検査(DFI検査)の流れ
Step1
病院を探す
当サイトで紹介しているクリニックのほか、現在通院している医療施設に相談する方法もあります
Step2
検査を受ける
通常の精液検査と同じ方法です。クリニックに提出された精液(検体)は検査機関に運ばれ、検査を行います。
Step3
検査結果を
受け取る
クリニックにて、医師等から検査結果をお知らせします。
Step4
治療開始
検査結果を参考にして、医師とご夫婦で今後の治療について検討。